「しろくまドラググリス」


近年までドラグはスムースが一番と言われた
理想的なドラグは魚を掛けてからズルズルとスムースに出て行き
ラインブレイクを軽減してくれるのが良いドラグという
まさしく素直で欠点が見当たらない従順良妻賢母的なドラグであり、女優で言えば壇れい風!?
そんな中で、ドラグってもう少し理想を言えば、急に走られた時にはスムースに出る必要があるけど
フッキングやランディングではあまりラインがズルズルでないほうが具合がいいんだよねーと
一部のエキスパートが言い出した。確かに遠投していてフルフッキングした場合
ズルっ!とドラグが出てしまうのではフッキングが甘くなる
ランディングしようとした時に暴れて走られてジャンプしてバレるというケースもよくある
ドラグでは定評の高いシマノのリールではそのような傾向が顕著に現れた
これはなんとも矛盾している課題である、スムースなんだけど粘りが欲しい
物理的にグリスの粘度を上げることは難しくはないが
瞬時の応答性が悪くなりライトラインではラインブレイクのリスクが高まる
さらに加えて、ロッドのガイドとラインの関係も出てくる
同じドラグ負荷での設定では、ロッドがまっすぐな時と
満月のように曲がっている時ではガイド同士によるライン角度が大きくなりライン抵抗が著しくなる
ちょうど川でダウンストリームで柔らかいロッドで釣りをすると硬いロッドと比べて同じルアーでも引き抵抗が大きいのと同じ原理である
こうやってみると一筋縄でいかないのがドラグの設定でもあるので
当時はある程度の魚がかかるとドラグの強弱を調整しながらやりとりをするのが普通であった
これをもっとドラグに仕事をさせて釣り人は釣りに集中できるように開発したのがしろくまグリスである

名前の由来はプロトグリスの色が白いことに起因する、当初はグリスメーカーと合同で
6
種類ほどのプロトサンプルを作成し、デカイ魚がウハウハ釣れると言われた尾瀬フィッシングライブに通い詰めて
散々とテストを繰り返した、テスターは一番粘度の高いまるでギアグリスなみのコテコテのドラググリスを好んだ
私も使用してみたが、一度使ったらやみつきになるほど楽にフッキング出来て
50cm
クラスにも余裕の対応が可能になったが、何しろドラグフェルトの負担が激しく
2
時間もするとボロボロに剥離した、ただし今でも彼らは大会の勝負グリスとして愛用しているというから
いつかは商品化する日もくるかもしれない。さて結局の所その後のプロトグリスには
個人的にときめきを感じることがなく、調達する添加剤にも限界があると聞いたので
誠に申し訳ないが開発のメーカーとは手を切ることにした。


再び一からのスタートになったが、以前ギアグリスでお世話になったメーカーや
他のオイルメーカーからサンプルを取り寄せて一つのグリスが目に止まった
課題であった、フッキング時の粘りとランディング時のタメが効く
もちろん瞬時に60cmクラスのレインボーの走りにも安定している
おそらくこれは一般的に言われるスムースなドラグというより
可変的に変化する生き物のような生々しいグリスであると思う
わかりやすく言えば悪い子のドラググリスである
しかし、この特性が一度使ったら病みつきになるといわれるほど手放せない
私はこのグリスを北海道のビックファイト松本に持ち込み
最終テストをしたことを覚えている
グリスの性能を低下させる要素に水の侵入があるが
なかなかドラグユニットは完全な防水は難しい、しからば水がある程度入ってもそこそこの性能が出ることも必要だと思った
早速そのグリスでわざと大雨警報の出てる管理釣り場で1日濁流の中でテストをした
リールは完全に水没状態でダメージを受けたがドラグの作動は安定していた
色は白いといよりほとんど透明な高純度な100%化学合成グリスである
しろくまグリスは純正のドラグユニットにも効果的ではあるし
シマノ系のリールにはドラグ特性が180度変わるといっていいほど
通好みのドラグになる、さらにダイワの場合は
D
システムとの相乗効果はまさしく水を得た魚とも言って良い
ボトムの釣りではフッキング初期は軽いフリップで決めて
遠投の表層釣りではオートマチックにフッキングが決まり
スチールヘッドの獰猛な走りにはDシステムがレスポンスよくリニアに反応してくれる
これはドラグが単なるラインブレイク防止だけでなく
高いレスポンスと常にテンションをリニアに魚に与えることでバレを軽減するという
過去のドラグの概念を超越した新しいコンセプトでもある
話題はすでにしろくまで事が進んでしまっていたので、ネーミングについては
白熊は雪と氷の世界に居るということでしろくまグリスとお許しを願いたい。