この世で売られているモノには様々な付加価値が付与されている
ちょっとしたことが、とても便利で使いやすかったりするが
開発する方からすると、どんな些細な事でも意外と時間と金がかかる
本当はそんなことには金もかけずに無視して、中身の性能が良いから売ればいいという誘惑もある
私は生来そんな小さな付加価値がとても気になってしまう性分らしく
IOS-01をスミスにOEM供給する前、点眼瓶に評判の良かったオイルを入れて売ればいいという声の中で、
この点眼ノズルは大きく太いから塗布しずらいなーと思っていた
そして、香水移し替えボトルの細いノズルとスプリングを点眼瓶の中に仕組んで
蓋を開けるとジャクナイフのようにノズルが飛び出す仕組みを開発もした
なかなかマニアックな方法だが、危険だろうということで企画はボツ
その後は、市販の丸いスポイト瓶でガラスのノズルが付いているものが目についた
これなら良いかなと思って、ギジーの取材でも公開したほど溺愛していたが
細くて丸いから安定がメチャ悪い
リールメンテは大抵、左手にリールを持って、その状態から右手でスポイト瓶の中からオイルが入ったノズルを取り出し
リールに塗布する都合、ややもするとスポイト瓶が片手作業の為に倒れてしまうことが多々あった
そこで、古来のインク瓶をヒントに角形スポイト瓶に行き着いた
こちらは30度傾けても倒れない優れものである。
合わせてガラス製の太いノズルは狭いリール内部には到底入りこまずに苦労した
個人レベルで大量に注射針を入手するには、当然御法度であるから
長年取引実績を重ねて、今では医療機器メーカーの大手、テルモ社から承認を受けて
注射針を加工して、ノズルとして採用している。
これはリールのわずかな隙間にも確実に塗布出来るから、リールのようなオイルとグリスが混在している機械では重宝する
普段何気に使用しているものも、もしそれが無かったと想像すれば、付加価値の存在意義がわかる
30度傾けても倒れない容器&極細ノズル、ガラス表面はポリッシュ仕上げで
趣味のものだけに装飾にも耐えうるクオリティ。
たかが容器されど容器である。
組み立ては全てハンドメイド、一つ一つ針の長さを合わせて組み上げている